岡田直子です。1月中旬から2週間弱、仕事でローマにおりました。現地で大流行中だったインフルエンザをしっかりもらい、40度近い熱が何度も出て、寝込んだ日が何日もありましたが、友人達に会い、街を歩き、新聞やテレビを見ていました。今回ローマで感じたのは、イタリアは大混沌期にあり、それが最終段階に来ているということです。
昨年からメディアを賑わし、政治機能を停止状態に追い込んでいる、ベルルスコーニの未成年買春スキャンダル。その相手は一人や二人どころではなく、何千万円単位の巨額の現金が渡り、車や宝石などがプレゼントされ、捕まった女性に対しても首相の権力を濫用して釈放させるなど、ここまでやってまだ「辞めない」と言っている。もし日本で菅首相が同じことをしたら間違いなく即日辞任だと思うのですが・・・日本、辞め過ぎ、イタリア、辞めなさ過ぎ。喧々諤々議論するだけで辞めさせることすらできない、議員たちと国民たち。わたしには「不思議の国」に見えます。
さらに驚くのは、このケースはどうみてもモラル的にアンコレクトなのに、首相を擁護する人が少なくないこと。ベルルスコーニは自分の周りの人達にはしっかりと「甘い汁」を吸わせていると言われます。首相が失脚したら自分も困るので、必死で擁護しているのでしょう。エジプトで革命が起こり得たこととの差は、それではないでしょうか(ムバラクは周りの人や国民にも甘い汁を吸わせることを怠った)。
かたや国民的企業フィアットの社長セルジョ・マルキオンネ氏は「イタリアは生産性が低い。イタリア人はポテンシャルを持っているのに活かしていない。その証拠にイタリアに投資しにくる外国の実業家が一人も居ない。外国へ工場をつくることも考えている」と発言して大問題に。ずーっと議論していても自分の生活にはとりあえず影響はない政治家達や、デモがあったら「とりあえず行って文句言っとく」学生達と違い、実業家たちはもっと冷静に状況を見ていて、いざとなる前に即行動に移す用意があるということでしょうか。
この
1) 「何も変える気がない」
2) 「とりあえず国や政治家に文句言っとく」
3) 「社会の動きも見るが、あくまでも自己判断・自己責任でどんどん行動していく」
3種類の人達の分化が、個人レベルでも、どんどん進んでいるように思います。
そんな中、ベルルスコーニ首相の初公判が4月6日に決定。
また今までのように逃げ切れるか、それとも総選挙まで展開するか、総選挙になったとしても彼に変わるリーダーは出てくるのか。いずれにせよ、イタリアが大きな山場を迎えることは間違いありません。(岡田直子)