岡田直子です。「Loves」に挙げたものは、わたしのお気に入りの場所たちですが、「お気に入り」である理由は100%個人的なものです。つまり、お店等のクオリティも良いですが、それより「その場所で素敵な時間を過ごした」「大切な人とそこで忘れられない時間を過ごした」といった「思い出の場所」的要素の方が強いです。
人間の好き嫌いは、そういった主観的印象に左右される部分がかなり多いのではと思います。さらに、人間は変化していくので、わたしの「お気に入り」も時間の経過とともに入れ換わります(脱落していくものあり、加わるものあり)。
例えばレストランであれば、オーナーと知り合いなので、行くといつも良くしてくれるため心地良い、など。日本でもそういうのありますよね。ですので、飛び込みのツーリストがその店へ行っても、同じクオリティのサービスが絶対に間違いなく受けられるとは限りません。
ですから、私情を排除し客観的に審査眼で見ると、もっとクオリティの良いお店や場所はたくさんあります。これらはあくまで「わたしが愛着を持っている」ローマの場所たちなので、他の人には良いと思えないところももちろんあるでしょう。
いわゆるガイドブックや雑誌に載っている「おススメスポット」とは、そういう点でご紹介の視点が違う、というのを踏まえてお読みいただければ、嬉しく思います。
料理に関しては、伝統的な正統派が好きです。フュージョンや創作料理系は、あまり好みではありません。料理には「美味しい・美味しくない」という基準以外に「面白い」「新しい(今までになかった発想)」というジャンルが存在するのは承知していますが、奇をてらったものの、「どこへ到達したいのか」「何をしたいのか」が明確でなく「スベっているもの」も少なくないからです。伝統料理の重い部分を減らし、長所を強調してうまく洗練・進化させたものに出会うことがありますが、そういうものは好きです。
静かな場所。客層の良いところ。サービスがきちんとしているところ。リラックスできて落ちつけるところ。かつ、繁盛していて活気のあるところ…が好きです。ですので、下町の伝統ローマ料理コテコテの騒がしいトラットリアなどからは、最近はすっかり足が遠のきました。
Naoko Loves
レストラン 「Hostaria da Pietro (オスタリア・ダ・ピエトロ)」
ローマでトスカーナ料理と言えばここ!という、有名老舗レストラン「Tullio(トゥッリオ)」の、オーナーの息子ピエトロさんが数年前に開いたレストラン。トゥッリオと同じ素材を使った同レベルの料理が、よりカジュアルに(お値段も)食べられます。トスカーナ料理のお店ですが、南イタリア直送のモッツァレッラチーズを毎朝仕入れており、それが美味しいのなんの。ローマで美味しいモッツァレッラが食べたくなったらここへ行きます。トスカーナといえばビステッカ(ステーキ)、肉料理もおハコです。
スペイン広場の近くにあり、人と会うのに便利なロケーションでもあります。そして、会食に使いやすいもう一つの要素は、こちらの空気を読むサービスの「間」が秀逸であること。ちょっと込み入った話をしている時は必要なサーブのため以外は絶対に入って来ないし、そうでない時は世間話や料理の説明、笑わせてくれる話などしにテーブルにやって来たり、「次を頼もうかな」と顔を上げたとたんサササッっと聞きにやって来てくれたり。サービスがキビキビしていて早いのも好きです。
プロ意識の高い店ですね。さすが老舗レストランの息子さんだなあ、職業をよく理解しているなあと思います。
必ず美味しいものが食べられて、必ず素晴らしいサービスが受けられて、必ず快適な時間が過ごせることがわかっている、絶対確実なところ。最近はメニューを聞くまでもなく勝手に見つくろってくれて、いろいろ出てきます。
これは通貨がリラからユーロに変わったあとに顕著になった現象ですが、以前は、特にローマでは、レストランの「ハズレ」というのは、そうそうありませんでした。飛び込みで適当な所に入ってもそれなりに美味しく、そんなにひどい所に当たることは、滅多になかった。外食すること自体、気軽な感覚で、そんなに高価なイベントではありませんでした。素材の美味しさを存分に生かした(そもそも野菜や肉など、イタリアの食素材は味と滋養に富み、それ自体にパワーがある)「良質のもの・『ホンモノ』・美味しいものを安価で食べられる」のがイタリアの長所のひとつだったのですが、残念ながら都市部では難しくなってきています。
さらに言うと、「『ホンモノ』にアクセスしやすい。しかも必ずしも高価とは限らない」というのは、食に限らず他の分野でもイタリアのおハコであり、長所でした。←過去形です。
ユーロになってから物価一般が上がったのとともに(感覚としては約2倍)、外食の値段は特に顕著に上がり、人々は以前のような気軽さで外食することはなくなりました。同時に、レストランもコスト増への対応の差がはっきり出ているのか(以前と同じく真摯に料理とサービスを提供するのか、コスト面を重視して切り捨てる要素は切り捨てるのか)、クオリティの二極化は進むばかりです。さらにリーマンショックがこの傾向に追い打ちをかけました。
そういう中、依然としてクオリティの高い料理とサービスを提供し続ける、しかもいつ行ってもブレがない(ココ重要)、というレストランは希少価値があり、ありがたくとても助かる存在です。
同じ時間を過ごし、お金を払うなら「ハズレ」のレストランには当たりたくないですし、食事は打ち合わせや社交、ちょっと込み入った話をする必要性など、単なる「いっしょにご飯を食べる」以上の意味を持つことも多いので、「絶対確実な安全牌」的レストランは、救世主的存在でもあります(岡田直子)。
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2011年07月に行く機会があったので、写真撮ってきました(桝山寛)。
手前左の白いカタマリ、何だかわかりますか? 右上はメロン・生ハム。右下はズッキーニの花のフライ。
牛肉のタルタルにカリカリ・トーストが添えられたもの。イタリア料理には珍しく、さっぱり味+スパイス。絶品!
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サイト管理人のマスヤマです。あちこちで書いていますが、直子さんはローマ在住歴、約10年(現在は京都在住)、私は、1週間以上居たことは無く、回数だけは、おそらく15回くらいは行っていると思います。”住んでいた人”の視点と、”短期滞在者”の視点は、かなり違うと思うので、ちょっとコメントしておきます。
ローマやフィレンツェ、ヴェネチアといった、イタリアの大都市は、世界でも10本の指に入るようなスーパー人気観光地です(山や海ではなく、都市としては)。スペイン広場、トレビの泉、など、いわゆる”ザ・観光地”には、文字どおり朝から夜遅くまで、かなり沢山の人が居ます。写真を見ていただくのが、一番わかりやすいかな…。
トレビの泉自体が悪いわけではありませんが、こうなってしまうと、雰囲気を楽しんだり、歴史的な背景に想いをめぐらせたりする余裕は持てず、むしろ、スリや物盗りに気を使わなければならないハメになります。
そこで、私のオススメは…。
短期滞在ならば、”時差ボケ”があると思うので、早朝に起き、トレビやスペイン広場など、24時間見られる場所は、早朝のうちに行ってしまうのです。ガラガラ、ということはありませんが、かなり余裕を持って、写真を撮ったり、映画で見たシーンを回想したりできます。しかも、それが夏だったら、暑くない、というメリットもあります。
早朝に起きて活動すると、当然のように、夕方には疲れてきて、眠くなります。ツァーに参加していて、バスで巡っていたりすると、車中ではぐったりして寝てしまったような経験、誰でもあるのではないでしょうか。
時差をコントロールするのは、旅慣れていても難しいものですが、早朝から観光地をめぐり、ランチにはワインを頼んで、眠くなったところで、ホテルに戻って昼寝してしまう、というのはどうでしょう。長時間、熟睡してしまってはいけませんが、30分とか40分くらい寝るだけで、ずいぶんスッキリすると思います。
ショッピングを楽しみたい場合、昼から午後にかけて、長い休みを取るような店も多いので、それにも合います。また、イタリアの夕食時間は遅い(21時スタートぐらいが普通)ので、昼に寝ておけば、その賑わいも味わえることになります。
もちろん、滞在しているホテルの場所によっては、気軽に戻れないような場合もあるでしょうが、逆にいえば、そこまで意識して、ホテルのエリアを選んでおくという考え方もできてきます。
いずれにしても、あちこち沢山見ないと”もったいない”と考えて、無理をしてしまうこと自体が、かなり”イタリア的ではない”と思うので、2回目以降であれば、ちょっと気持ちを切り替えて”自分なりのローマ”を楽しんでほしいと思います(桝山寛)。
コメント
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