2010年12月23日、ローマ市で「滞在税」の条例が可決されました。2011年1月1日より施行されます。
この条例は、観光客が市内のホテルに宿泊する際、1泊につき1~3ユーロの税金が徴収されるというもの。課税額はホテルのランクにより異なり、また美術館等の入館料にも別途1ユーロの税金が加算されます。詳しくはローマ市公式観光サイトをご覧ください。
こう字面で見ると「ああ2~3ユーロか。たいしたことない」と一瞬思いますが、そうでもないのですね。たとえば4人家族が4つ星ホテルに4泊する場合、3ユーロ / 人x 4 x 4 =48ユーロ(約5,300円)が課税されることに。
住民以外の人が観光バスやテヴェレ川のクルージング、オスティアの海水浴施設を利用する際にも課税されます。オスティアは、ローマから南西へ車で30分ほどの海辺の町。夏は、駐車スペースやビーチに場所を確保するためには早朝に家を出なければならないほど、海水浴客でごった返します。
ローマ市はこの税により、年間約8200万ユーロ(約100億円)の税収を見込んでいます。
全国紙La Repubblica のこの件についての記事についているコメント(12月24日22時15分現在、395コメント)のほとんどが、批判的コメントです。
・ローマの恥だ!(この意見多数)
・自分たちの財政難を、観光客へ物乞いしてまかなうのか?ローマ市の経営能力欠如を、観光客にカバーさせるのか?この税金で足りない場合(足りないだろう。経営能力欠如は変わらないからだ)、次はどんな税金を「発明」するつもり?
・ローマはイタリアの首都である。つまりこの国の貧困の度合いを表している。
・ローマは世界中がうらやむ素晴らしい文化遺産を持つ都市で、観光客はこの国に大きな経済的利益をもたらしてくれる存在なのに、彼らを暖かく迎えないばかりか、ワナをしかけて彼らを遠ざけようとするのか?
・バカンス先からローマをボイコットしよう。(この意見多数)
・滞在税を導入する前に、パリと同じクオリティのサービスを提供すべき。ローマではバスを45分待つのはザラ、道は汚く、メンテナンスもされていない。工事が始まるときは祝うくせに、いつ終わるともわからない
・税を増やす代わりに、・公用車の数削減・大臣や閣僚(とその事務所)の数削減・議員の給与削減を考えたらどうだ(*)。
賛成意見には…
・ツーリストは行儀が悪い。お金を払って当然。(この意見多数)
・ツーリストのセレクションに繋がるので、良いことだ。つまり富裕層のツーリストが増え、質の良くないツーリストは来なくなるだろう。
…のようなものがあります。
「滞在税」はフィレンツェでも導入が検討中。また、東京では2002年から「宿泊税」が導入されています。
*参考:イタリアは公用車の数62万9120台、2位アメリカ7万2000台を大きく引き離しての堂々世界第一位。この数字の差をみるとどれだけ「ありえな い」事かがわかる。3位フランス6万1000台、4位イギリス5万5000台、5位ドイツ5万4000台、6位トルコ5万1000台、7位スペイン4万 2000台。日本は3万台。最下位はポルトガルの2万2000台。Panorama 誌 2010年5月12日付記事より(岡田直子)
ローマの名所、”トレビの泉”に集まる観光客↓。
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