イタリア人が薦めるイタリア!

陽気な人々、美味しいパスタ、街じゅうが世界遺産! ステキなイメージ満載のイタリアだけど、本当のところはどうなの?イタリア人に聞いてみよう!

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イタリア人にとってのピッツァ

岡田直子です。「正統派ピッツァとは何ぞや」とか「ピッツァにはローマ風とナポリ風がある」など、ウンチクが書いてあるサイトやブログはたくさんあるので、ここでは省き、わたしが生活していたなかで体感した「イタリア人にとってのピッツァとは」を、書いてみます。 

 

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これはローマではなく、ナポリのピッツェリアにて。


「ピッツァでも食べに行こうか」と言われる場合、気取らない、フットワーク軽いノリのお誘いです。ピッツェリアはどこにでもあるし、「速い・安い・(そこそこ)旨い」の代表格のようなもの。

 

シチュエーションとしては、気心知れた友人間のいつもの夕べ、という感じ。週末の晩どこかへ出かける前の手早い腹ごしらえや、イタリアの映画館は遅くまでやっているので(夜の回はだいたい20時頃と22時頃)映画を観に行く前に食べたり、映画や演劇の後に夕食がまだな場合にも便利。

 

典型的なシチュエーションは、大事なサッカーの試合があるとき。大きなテレビのある家に友人達が集まって、みんなで観戦するのですが、そのときのお伴はピッツァ。家の近くの行きつけのピッツェリアからお持ち帰りしたり、そこへ電話して宅配してもらったりします。

 

余談ですが、このサイトにも既出のわたしの「元カレ」のお父さんは弁護士で、ハイソな交友関係をお持ちだったのですが、あるサッカー試合の晩、大スクリーンのあるお父さんの家に弁護士や検事仲間が集ったわけです。それ以前にもお父さん宅のディナーで見かけていた上品でインテリなこの人たちが、試合が始まると豹変し、野獣のように叫び、ヤジっていたのを見て、当時イタリアに住んでまだ2年ぐらいでウブだったわたしは、度肝を抜かれた記憶があります。

 

 話を戻して…

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これも、ナポリのピッツェリアで。ナストロ・アッズーロ(青いリボン)というブランドは、イタリア最大のビールメーカー、ペローニが生産しているもので、日本のビールに慣れている人には、ちょっと軽めかもしれません(このキャプションのみ桝山寛)

 

ピッツァを食べるときにワインを飲む人は、あまりいませんね。理由はわかりませんが、圧倒的にビールです。味覚的にも、ワインよりビールの方が合う気がします。ビールの程良い苦さと泡が、口の中の脂分をさっぱり洗い流してくれます。

 

だいたいどのイタリア人にも、自分のご贔屓のピッツェリアとジェラテリア(アイスクリーム屋さん)があり、誰もが「このピッツェリア(あるいはジェラテリア)がローマいち美味しい!」と言います。好みは主観なので「それは自分にとっての『ローマいち』でしょ」と思うのですが(言いませんけど)、それほどみんな自分のこだわりがある、ということですね。

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 ローマのピッツェリアにて。友人のJ。GとAのファミリー(桝山寛)。

ピッツェリアに行って座って食べる丸ピザのほかに、イタリア人の定番おやつ「切り売りピッツァ」というのもあります。パン屋さんや切り売りピッツァ屋さんで売っています。四角い大きな鉄板に座布団のように大きなピッツァが何種類も並べてあり、好みの大きさに切ってもらって買います。

 

元カレのお母さんがよく作ってくれたピッツァも、美味しかったのを覚えています。スーパーでイーストや、時にはピザ生地も売っているのでそれを買ってきて、手のひら大の小さな丸型にまとめてフライパンで焼いたり、油で揚げたり。トマトソース(彼女のトマトソースは缶詰ではなく、市場で買ってきたプチトマトから作る手作りで美味しい)を塗って、アツアツをふぅふぅ言いながら食べるのです。お母さんには残念ながらあまり好かれなかったけれど(彼によると、いままでどの彼女もマンマのお気に召したためしはないのだそうです。息子を取られるのは誰であっても絶対イヤ!ってことでしょうか)唯一、一緒にお料理する時間はホノボノとして楽しい時間でした。(岡田直子)

投稿情報: Masu | 2011/10/27 15:57 カテゴリー: 岡田直子のローマ案内 | 個別ページ | コメント (0)

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このピッツァは反則!

サイト管理人の桝山寛です。イタリア料理といえば、何といっても、パスタとピッツァ(ピザ)ですよね。 日本でも、パスタは、日本人の麺類好きもあいまってか、高級リストランテでの凝った一皿から、ファミレスやカフェの定番、バーの裏メニューにいたるまで、もはやカレーやラーメンとともに、国民食といってもいいほどの人気です。

 

 では、ピッツァはどうでしょう?ファミレスやカフェでは、よく見かけます。チェーン店や専門店も見かけますが、やはりイメージ的に一番大きいのは、宅配サービスではないでしょうか。日本で、宅配ピッツァがメジャーになったのは1980年代中期です。それまで、飲食店から自宅に配達してもらうことは、”店屋物(てんやもの)の出前”と呼ばれ、注文できるものも、中華、蕎麦、鮨、定食の弁当などに限られていました。

 

 個人的なイメージでいえば、日本で外食のピッツァが食べられている度合いが多い順は…

1:宅配

2:ファミレスなどのメニュー

3:イタリア料理屋

4:専門店(宅配を除く)

…という感じでしょうか。

 

では、ナポリ風とかローマ風という区分はともかく、イタリア現地の”ピッツェリア(ピッツァ屋)”で出てくるピッツァと、私たちが日本で食べているピッツァは、違うのでしょうか?それとも、似ているのでしょうか?

 

私の答えは、”日本で食べられているピッツァの8割くらいは、イタリアのものとは違う”です。上記の分類でいえば、宅配店、ファミレスなどでは、ごく一部のお店を除いて、かなり日本風にアレンジされており、イタリア人が見たら”んー、これはイタリアン・ピッツァじゃないな”と言うはずです。

 

”専門店”には、大きく2つあり”アメリカ風”と”イタリア風”です。典型的にいえば、シェイキーズ。 もともと、1950年代にアメリカのカリフォルニアで創業し、1970年代に日本に進出したチェーンですから、まさにアメリカ風のピッツァを提供しています(個人的には決してキライではないです)。

 

日本でのイタリア風ピッツァの典型は、色んな見方があるでしょうが、私は、サルヴァトーレだと思います。宅配でも店舗でも、かなりレベルの高いピッツァを提供してくれています。値段は、”日本風”に比べれば、やや高めかもしれませんが。

 

私も、イタリアに行った時は、たまにピッツァを食べます。ひとつのパターンは、急いでいるときの軽いランチとして。日本でいえば、立ち食い蕎麦・うどん屋感覚の小さい店で、多くの人がテイクアウトし、一部の人が店内で半立ち食いをしています。メニューの種類も、それほどありません。チーズとトマトソースが乗ったシンプルなものを、”スライス”で食べるというもの。

 

ミネラルウォーターやコーラなどと一緒に頼みます。立ち食い蕎麦・うどんと似ていて、お店によって、すごくおいしいところと、そうでも無いところの差が激しいです。昼どき、地元とおぼしき人や近くの工事現場の人が多く来ている店は、おいしい確率が高いと思われます。

 

もうひとつは、夜、いわゆるトラットリアなどで、前菜、メイン…と食べる感じでないときは、ピッツァだけ食べに行くパターン。ただし、イタリアのピッツァは、一人前が大きいので、完食すると、かなり満腹になります。

 

鮨が日本食の代表だからといって、どんな店でもおいしいとは限らないように、ピッツァも、イタリアで食べるからといって、必ずしも”これぞイタリア!”という感じで、おいしいわけではありません。正直なところ、東京で食べるサルヴァトーレのピッツァは、イタリアの一部の店より、全然おいしいと思いますし、チェーン店だけにブレが少ないです。

 

サルヴァトーレだけではなく、都内では、ここ数年、イタリアでも充分に通用する本格的なピッツァを出す店が、急激に増えました。おそらく、数十軒はあるのではないでしょうか。実際に行ったわけではありませんが、聞く所によると、関西や、福岡などでも、少しずつ増えているようで、イタリア風ピッツァ好きとしては、嬉しいかぎりです。

 

さて、ここでは、私の友人であるイタリア人、ジャイメ(ローマ在住)が薦めてくれて、一緒に行き、私も印象に残ったピッツェリアを紹介しましょう。それは、ローマのトラステヴェレ地区にある、”ビル&フッド”(bir & fud)。英語でいえば、”ビール&フード(Beer and Food)”ですから、日本的なイメージだと”ビアホール”という感じでしょうか。

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”bir & fud" 入り口前、外のテラス席。撮影したのは4月。

ジャイメによれば、かなり人気なので事前の予約が必要とのこと。東京では、カジュアルな飲食店でも予約することは珍しくありませんが、ローマで、リストランテ(いわゆる高級店)ではなくピッツェリアで、事前予約があたりまえというのも、ちょっと珍しいと思いました。

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 中は、奥に向かって長い作り。かなり混んでいました。

名前のとおり、飲み物はビールがウリです。そしてフードはピッツァ。イタリアは、ワインのイメージが強いですが、この後で直子さんも書いているように、ピッツァには、なぜかビールですね。もちろん、ワイン飲んでも、全然オッケーですが。

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こんな写真しか無くて、申し訳ないんですが、左に並ぶのが生ビールのサーバー。


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奥に入ると、天井がテント的な感じになっています。夏は、これを外して広いテラス席になるのかもしれません。

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前菜に、ピッツェリアの定番、アランチーニ。いわゆる”ライスコロッケ”です。bir & fudでは、三種でてきて、しかもソースがそれぞれ別、というところが、他のピッツェリアと違っています。カジュアルなメニューですが、手がかかっているという印象。ちなみに、アランチーニとは”小さいオレンジ”という意味だそうです。

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そして、これ!白いものは、”エキストラ”でトッピングしてもらう生のモッツァレラです。これが激ウマ。

 

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以前、本サイトのこの記事で登場してくれた、ジャーナリストのディエゴ。これで、1人前のピッツァの大きさが、おわかりいただけるかと。手前にあるグラスはワイン用に見えますが、中身はビールです。ラガーではなく、(独語でいう)ヴァイツェン?

 

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直子さんは、エキストラチーズなしで、普通のマルゲリータ。

 私自身(桝山)は、エキストラチーズをオーダー。ピッツァに”生のモッツァレラ”を乗せるものは初めてでしたが、感動的に美味しかったです。まぁ、日本から行くと、イタリアで食べるモッツァレラは、それだけでも激ウマ、と感じることが多いですが…。

 

その意味で、ウマいピッツァに、生モッツァレラは、もう反則(笑)。今まで食べたピッツァの中で、もっとも印象に残っている一皿でした。あぁ、また行きたい(笑)。

(桝山寛)

bir & fud: Via benedetta, 23 Roma Zona Trastevere

19:30〜24:00 (週末は26時まで)

投稿情報: Masu | 2011/10/16 13:28 カテゴリー: 食 | 個別ページ | コメント (0)

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イタリア料理の原点、マンマの味を自宅で習ってみる!

岡田直子です。東京の某人気鮨店ご一家をローマでご案内したときのこと。「普通のツーリストができないような体験をしてみたい」とのリクエストがありました。そこで思いついたのが、イタリア人の自宅で開催される少人数制の料理教室です。これが、イタリア料理も、イタリア人の自宅も、いまや珍しいとは思わない私にとってさえ、予想外に楽しくて素晴らしかったのです。

普通の旅行では、現地に友人でもいないかぎり「その国の人達がどんな生活をしているのか」を実際に見ることは、なかなかできません。どんなお家に住んで、どんな雰囲気で過ごしているのか…レストランで出てくる料理ではなく、現地の人たちは普段どんなものを食べているんだろう…。自宅で開催してくれるお料理教室なら、それらの全てを見て、感じることができるんです。

 ローマの友人が、料理研究家クリスティーナさんを紹介してくれました。彼女の大学の卒論テーマは「15~16世紀の栄養史」。その後、料理学校コルドン・ブルーを卒業、レストラン・ホテル・チャーター船舶などで経験を積み、2004年アトランタ、2006年トリノオリンピックでは、アメリカチームから、選手の栄養管理のために招聘されました。現在はローマで料理教室を開くほか、ケータリング業務や、海外からのリクエストも多く、ひっきりなしにあちこちを飛び回っています。

わたしたちがお願いした日、クリスティーナさんには他の仕事が入っており、叔母であるジョバンナさんが、アベンティーノの丘(ローマの高級住宅街)にあるクリスティーナさんのご自宅で迎えてくれました。

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この日のメニューは…

 -フェットゥッチーネ(きしめん状の卵入り手打ちパスタ)のトマトソース・パルミジャーノチーズがけ。上の写真は、生のフェットゥッチーネを作り始めるところ。私(岡田)の前にある小さい機械が、パスタを伸ばすマシン。

-鶏肉のカチャトーラ(猟師風)・ローズマリー風味

-ティラミス

わが子が長旅から帰ってきたりしたら、イタリアのマンマはこんなメニューで迎えるんだろうな、というような「定番中の定番」メニューです。まず気づくのは、食材の質がとても良いこと。その辺のスーパーではなく、ちゃんと高級食材店や市場で新鮮な素材を用意してくれたことがわかります。メニュー外に用意してくれたグリーンサラダの、ルッコラやレタスの美味しかったこと。パンも、高級食材店「ボルペッティ」のものだと、見てわかります。


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 これまたメニュー外に用意してくれていた、前菜の「ズッキーニの花のフライ」を手際よく作っていくジョバンナさん。私たちは、食前酒のスパークリングワインを飲みながらキッチンを囲みますが、メインのゲストは、研究熱心で知られる寿司職人の親方ですから、ジョバンナさんに、あれこれ質問攻め。

みんなでワイワイ、パスタ生地をこねたり伸ばしたり。あれれ、伸ばすのって簡単に見えて案外難しい。

 

その横で、メインディッシュの鶏も、特大フライパンの中で着々と調理されています。

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総勢10人分の量の料理を、手際良く進めていくジョバンナさん。長年料理をしてきた人特有の「美味しいものを作りだす手」をしています。上品で、はにかみ屋さんで、心優しく暖かな女性らしさがにじみ出る、ひと目で好感を持たずにはいられない女性です。

 ジョバンナさんのお料理の美味しさには、取材などで美味しいものもけっこう食べてきたわたしでさえびっくり。今まで食べたパスタの中で5本の指に入るかも、ぐらいの勢いです。シンプルなものほど美味しく作るのが難しいですから、彼女のお料理は本当にすごい、と思いました。

ティラミス・フェチなわたしは、メニューにティラミスがあれば必ず注文し、いままでかなりの数を食べてきましたが、彼女のティラミスも間違いなくトップ5に入る美味しさ。とんでもなくまろやかで優しい味、甘さ・苦さのバランスと、クリームのこってり具合がすべて「絶妙な加減」なのです。

 彼女の料理が素晴らしいのは、素朴な「おふくろの味」でありながら、上品さが同居していることです。すべてが完璧に「程良い」。これは経験を積むことによってのみ、獲得できるセンスなのかも…と思いました。

 食後のカフェを用意しながら、コーヒーカップを指してふと思い出したように「これはうちの家紋なのよ」というジョバンナさん。「家紋があるという事は、おたくの家系は貴族ですか?」と聞くと「そうよ、○x(貴族の称号)なの」。どうりで自然な気品が身についているわけです。

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 この日は参加者10名、17時~デモンストレーション3時間+20時~夕食。

食材・スパークリングワイン1本・白ワイン1本・赤ワイン2本・リモンチェッロ(食後酒)込みで600ユーロでした。

 別の機会にクリスティーナさんにも会いました。同じように気さくで溌剌とし、かつ上品で、とても魅力的な女性です。

ローマで、イタリア貴族のお宅拝見もできて、心のこもった美味しい手料理が食べられて、その料理がどのようにして作られるのかも見られちゃうという、レアな体験をしてみたい方には、とてもお勧めです。イタリア語はもちろん、英語でも料理教室や、市場めぐりツアーなどを開催しています。

*クリスティーナさんはウェブサイトを持っていません。ご興味がおありの方は、下記にコメントいただければ、コンタクト先をお伝えいたします。(岡田直子)

投稿情報: Masu | 2011/10/01 16:23 カテゴリー: 岡田直子のローマ案内, 食 | 個別ページ | コメント (1)

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”暮らすように泊まれる”・ローマの短期貸しアパート

岡田直子です。ローマに滞在するときはだいたい友人達が自宅に泊めてくれるので、普段は利用しないのですが、1度利用してすごく良かったのが”ナツィオナーレ・フラット。私自身のブログでも、ちょっと紹介しています。

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(画像は、ナツィオナーレ・フラットのWebサイトから。These images are taken from Nazionale Flat website.)

 ローマは他の町に比べてホテルのコスパが良くない、といわれます。統計を取ったわけではないので実際はわかりませんが、私の感覚でもそうだと思います。さらに、いまだに自信を持っておススメできるほどお気に入りのホテルって、ないんですよね。前出のHotel de Russie ぐらいでしょうか。

もともと、ホテルに独特の、良く言えば「非日常感」、悪く言えば「圧迫感」「息苦しさ」が好きでない私です。どうしてホテルの部屋って息苦しい感じがするのでしょうね(部屋の広さに関係なく)。もしかして何か清掃関係のケミカルな物質に関係するのかな、と思ったり。

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リビングとキッチン          ベッドルーム

(画像は、ナツィオナーレ・フラットのWebサイトから。These images are taken from Nazionale Flat website.)


 ホテル泊まる場合と比較して、アパートを借りる場合のメリットは

・気楽である

・自炊できる(3食外食が何日も続くと疲れる)

・友達を招いてランチやディナーもできちゃう

・洗濯が思う存分できる

・こんなに便利なのに、宿泊料がホテルより割安 

要するに、旅雑誌などで良く使われるフレーズ「暮らすように滞在」できるということですね。

疲労度と緊張度、精神的自由度の差はかなり大きい気がします。 

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 バスルーム              窓からの風景
(画像は、ナツィオナーレ・フラットのWebサイトから。These images are taken from Nazionale Flat website.)

 

このアパートが気に入ったので、その後も機会があるたび何度か問い合わせたのですが、いつも予約済。しかたなく他のアパートを1度利用したことがありますが、そこはラグジュアリーをうたった会社で、価格はこのアパートの1,5倍だったにもかかわらず、備品の充実度や問い合わせに対するケアなど、サービスは全然良くなかったです。

 このアパートが気に入った理由は

・ロケーションの便利さ(ナツィオナーレ通りという、中央駅であるテルミニ駅に近い大通りにある)

・きれい。かつ装飾がシンプル(オーナーは建築家)

・問い合わせの段階からレスポンスが早い、かつ丁寧

・備品が充実している

キッチンには基礎調味料(塩コショウやオリーブオイル、カフェ等)のほか、何食分ものパスタまで備えてあって、到着が夜遅かったので店も閉まっていたけどお腹は空いていたので、とても助かりました。タオルやシーツ類の替えも豊富に準備されていて(これ結構重要)、すべてに気配りが行き届いていました。他の貸しアパートにはこれはなかった。

予約の際からメールを交わしていて、オーナーさんの丁寧な言葉遣いが印象的だったのですが、ここにもお人柄が表れているなと思いました。

 予約時に一部前金の支払いや、入居時にデポジットが必要だったり(退去時に返金してくれます)と、ホテルに比べてひと手間かかりますが、それを補って余りある満足度です。

ひとつ難を言えば、私が泊まったこのアパートは、ベッドがシングルだったこと(ふたつあったけれど)。でもこのオーナーさんは同じ建物内にもう1軒、市内に同じようなアパートをさらに数軒持っていて、その中にはダブルベッドのところもありました(岡田直子)。

 

桝山寛です。ここ、とても良さそうですね!気になるお値段ですが、ここのサイトによると、ローシーズン(11月〜3月)が650ユーロ/週、ハイシーズン(4月〜10月)が750ユーロ/週ですね。2011年9月下旬現在、ユーロがとても安いので、1泊にすると1万円〜1.2万円くらい。安い!場所も便利そうですし。

今、このアパート(ナツィオナーレ・フラット)のサイトで、空き状況を見てみると、やはり2ヶ月先の11月まで、けっこういっぱいですね。今度、早めに予約して、泊まってみます。

パリでは、友人所有のアパート(本人はローマ在住)に泊まったことありますが、やはりキッチンや大きな冷蔵庫あると、便利というか、生活スタイルがホテルとは変わりますね。ミニマムの滞在日数も、3泊以上、ということなので、短期旅行者でも充分アリと思いました(桝山寛)。

投稿情報: Masu | 2011/09/22 15:55 カテゴリー: 岡田直子のローマ案内 | 個別ページ | コメント (0)

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ローマの”ここが好き”&”ここが今イチ”・その3

ホテル「Hotel De Russie (ホテル・デ・ルッシー)」 

 岡田直子です。ローマには、高級ホテルが数多くありますが、ここのエレガントさと、慇懃無礼でない、スマートで粋なサービスが好きです。

館内に流れる、優雅でゆったりした、時の流れが止まったような雰囲気が好き。完全に外界のカオスから遮断され、独特の世界がここにはあります。ピンチョの丘に面しているロケーションも多分に影響しており、「場所の持つパワー」ってあるんだな、と実感する場所です。

美しい中庭に面したレストランのビュッフェランチのお料理はどれも洗練されていて美味しく、この空間でそれを味わうのはとても贅沢な時間。「ポポロ広場のすぐ横」という中心地にあるので、街なかに出かけてきたけれど少しゆっくりしたい時や、込み入った話のある人との大事なランチなどに最適です。

ここでのアペリティーボ(食前酒)も素敵です。しっとりと日が暮れていくなかにキャンドルライトが浮かび上がり、中庭全体が幻想的な雰囲気に包まれ、魔法のような瞬間が訪れます(岡田直子)。

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Via Del Babuino 9, Rome

桝山です。2011年7月、ローマに行った際、ほんの数分だけですが、写真を撮りに行ってみました。5つ星の高級ホテルですから、観光シーズン真っ只中の7月だと、1泊8万円や10万円が最低料金のようでした(なので、私は宿泊せず…)。

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Hotel de Russie 外観は、わりと普通ですね。Via Del Babuinoに面しています。左奥に、チラっと見えているオベリスク(尖塔)のある所が、ポポロ広場。


Hr02ドアマンは、宿泊客ではなく、写真を撮りに来ただけだ、と伝えた私にも、丁寧に接してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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入って正面のホール。白と緑だけのクールな配色。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さらに進むと、直子さんも書いている”中庭に面したレストラン”が。

19時くらいで、夕食前のアペリティーボ(食前酒)の時間。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

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ジャズギターの生演奏が、両側の壁に反射して、いい響きを出していました。

ガラスのすぐ裏で、頭と背中が少し見えているのがギタリストです。

手前の花は、白と紫が主体で大人な印象。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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客室への入り口になるエレベーターホール。照明にセンスを感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿泊していたわけではないので、客室は見られず。ホテルのウェブサイトから、1枚だけ借りて貼っておきます。

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This image is taken from Hotel de Russie website.

ホテルに限らず、写真だと素晴らしい雰囲気に見えても、実際行ってみると今イチなことは、よくありますが、ここは実際も良かったです。ホテルのサイトで、他の写真も見てみてください。

最近は、ユーロが円に対して、かなり安くなっているので、シーズンによっては、1泊4万円くらいで泊まれる場合もあるようです。…とはいえ、普通の旅行で宿泊するのにハードルが高いのも確か。中庭でランチやアペリティーボのために訪れる価値は、充分ありそうです。

ここで、私(桝山)自身のホテル選びについて、簡単に書いてみます。日本国内でも、世界のどこでも、基本は街中の便利な場所で、インターネットが部屋にあれば、あまり雰囲気や広さは気にしません。わかりやすくいうと、ビジネスホテル的なところで充分ということです。清潔さや、ある程度の安全性は、当然のように前提として、ですが。

私が知る限り、ヨーロッパでもドイツやスイス、北欧などには、日本でイメージする”ビジネスホテル”的なチェーンがあります。実際、とてもコンパクトで実用的な作りの部屋、簡素な朝食、便利なロケーションが、リーズナブルな価格(1泊1万円〜1.5万円程度)で提供されていて、私が泊まるのは、ほとんどそういったホテルです。

たとえば、ホテルIbis。

一方、フランスやイタリアでは、空港の近くなどには、そうしたビジネスホテル的なものがありますが、街中では、あまり見かけません。スターバックスなどのアメリカ系飲食チェーンが、ドイツなどに比べて少ないのと、似た傾向です。ローマでは、友人宅や、用事のある場所が、ナボナ広場の近くにあることが多いので、地元の友人が薦める小さいホテルに泊まります。

そこは、特にオススメというわけではないので、あえて名前は出しませんが、シーズンによって、100ユーロから200ユーロくらいで泊まれます。

2011年7月に行ったときは、直前までスケジュールが決まらず、ホテルを予約したのも1週間くらい前でした。観光シーズン真っ只中なので、いつものホテルが取れず”ボルゴニョーニ(The Hotel Dei Borgognoni,)”というところに、初めて泊まりました。

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左がホテル・デイ・ボルゴニョーニ。

ここは、サービスも部屋も普通、値段はちょっと高め(1泊3万円近く。観光シーズンで、中心地だと、まぁそんなもの)でしたが、観光するなら、ロケーションが最高でした。トレビの泉が徒歩3分、スペイン広場も徒歩5分(もっとも近い地下鉄駅もスペイン広場)。タクシー乗り場が、徒歩1分という感じで、とにかく便利でした。

さらに、ホテルのすぐ左隣が、ちゃんとした品揃えのスーパーで、夏の必需品であるペットボトルの水などは、割安で買えました。オススメというほどではありませんが、場所が便利なことだけは確かです(桝山寛)。

投稿情報: Masu | 2011/09/15 16:18 カテゴリー: 岡田直子のローマ案内 | 個別ページ | コメント (0)

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ローマ・”ここが好き”&”ここが今イチ”・その02

エノテカ 「Ai Tre Scalini (アイ・トレ・スカリーニ)」 

(リンク先は、お店のウェブサイト英語版。トップページには、日本語対応してます風のアイコンもありますが、実際に用意されているわけではないのでご注意ください)

ローマの歴史的地区「モンティ」にある、ローマっ子たちには有名すぎる小さなエノテカです。いつも外の道路にまでグラスを手にした人たちが溢れてお喋りしています。

 地元にしっかり根付いている、気さくなエノテカ。ワインの揃えもそれなりに良いし、店のスタッフも若くて元気良く楽しそうに働いていて、気持ち良い。毎日でも寄って飲んでお喋りして、気分がアガって出てこれるお店。

 以前、勤めていた会社がこの近くにあったので、この一帯は何年も毎日通った地域です。あの頃のモンティは職人さんがたくさん居て、家具の修復工房や額縁屋さんなど、工房がたくさんありましたが、今はブティックやセレクトショップなどお洒落なお店にとって代わられ、すっかり様変わり…それでいて、石畳の道や建物を覆う蔦の緑など、昔と変わらないぞ!というこの場所の「意志」のようなものも感じられ、今でも行くたびにいろんな思いの交錯する場所です。(岡田直子)

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桝山寛です(フォントの色を変えています)。エノテカ、というのは、もともと”ワインを貯蔵する蔵”という意味らしく、それが転じて、ワイン小売店やワインバー、レストランも、そう呼ぶようになったようです。日本でも、たまに見かける単語ですね。

直子さんのオススメということなので、2011年7月にローマに行ったときに寄ってみました。外観からして、いい感じですねー(上)。中央・下・右の、青い車の前、人が3人居る場所が入り口です。


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イタリアでは、すべての飲食店の店内が禁煙なので、外に灰皿があり、寒い時期でも外で一服している人が居ることがあります。上の写真のように、常連風の客が入り口に座っていたり、たむろっていることも多いですが、全然気にせず、どんんどん入りましょう。入り口は、一軒普通ですが、ドア部分がとっても狭いので、ご注意を。


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入ると、まず左にカウンターとキッチン、右にカウンター。奥がテーブル席。20人くらいで満でしょうが、立って飲み食いする人もけっこう居そうです。超広角レンズで撮っているので、広く見えますが、実際は小ぢんまりしたお店です。


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プロセッコ(ヴェネト州の発泡白ワイン)を注文してみました。4ユーロ。自動的に、突き出しというにはちょっと多めな、”塩豆・プレッツェル?(正解は下記)・小さいパニーニ”が出てきます(1人で居ても)。


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これは19時半くらいに撮ったものなので、まだ空いてますね。食事前の”アペリティーボ”という、軽い飲みの場の時間帯。実際、私も、この後、人と待ち合わせて食事する予定でした。

直子さんも書いているように、地域のコミュニティ・バーになっているようで、先客と後から来た客が、次々に談笑を始めます。といっても、別に排他的なわけではなく、一見でも、観光客でも、違和感無く過ごせると思います。

私は、一人で行って、帰りがけには、お店の人にタクシー乗り場の場所を聞いたのですが、英語できる人も居て、とても親切に教えてくれました。ちなみに、一番近いタクシー乗り場は、”Palazzo delle Esposizioni・パラッツォ・デル・エスポジシォーニ”

ローマは、どこに行っても観光客が居るイメージですが、この地区は日本人観光客が多く来るような場所ではないので、その意味では、地元っ子的なローマの雰囲気を味わえるのではないかと思います。ツマミのパニーニがおいしかったので、次回行く機会があったら、食事してみたい!

お店のFaceBookのページもありました。

Ai Tre Scalini (アイ・トレ・スカリーニ)

住所:Via Panisperna 251, Rome, Italy 電話:+39 0648907495

(桝山寛)

(岡田・追記)上の写真で、マスヤマさんが塩豆と書いているのは、炒ったひよこ豆です。プレッツェル?とあるのは、タラッリというサクサクした食感の、クセになる「手が止まらない」系塩味スナック。オリーブオイルとラードが入っているので、けっこうお腹にたまります。

 ちゃんとした食料品店で良いメーカーのものを買うと、それはそれは美味しいです。市場の南イタリア食材の屋台で は、いろんなバリエーションのものが売っていて、めちゃくちゃ美味しいです。いちばん美味しいのは、本場プーリアで食べることでしょうけれど…。


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”モンティ地区の紋章”

(岡田・追記2)ローマの中心部では、「Rione(リオーネ)」という区画区分が使われています。ウィキペディア(伊語)によれば、中世の頃からだそう。

ラテン語の「Regio(レギオ)」、イタリア語の「Regione(レジョーネ)」(地方、区域の意)が語源。英語でも「Region(リージョン)」という単語がありますね。

「モンティ地区」は「リオーネ・モンティ」となります。

現在、ローマ中心部は22のリオーネに区分けされていて、その第1リオーネがモンティ。位置は、中央駅であるテルミニ駅の少し南側(詳しい区分はこのサイトに地図アリ )。ローマで最も古い地域です。

via dei Serpenti (セルペンティ通り)からは、正面にコロッセオが見えることでも、この辺一帯の歴史が古いんだな…とわかります(距離は近いですが、コロッセオ自体は「チェリオ」という別のリオーネに属します)。

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"トラヤヌスの市場”(Googleで、画像検索の結果)

古代ローマ時代には、権力者達の屋敷が並ぶ区域あり、庶民の居住区域ありの人口密集地帯でした。トラヤヌスの市場、皇帝ネロの黄金宮跡ドムス・アウレアなどの古代ローマ遺跡も、この地区にあります。また、ジュリアス・シーザーもこの地区で生まれたのだそうです。

古代ローマ(B.C.8世紀-A.D.5世紀くらい)〜中世(5世紀-15世紀)〜ルネサンス(14世紀-16世紀)〜バロック(16世紀末-17世紀)と各時代の名残が見られ、この狭い区域に、実に2,500年の歴史の変遷が見える形で残っているのです。ちょっとすごいですよね。

そんな豆知識を持ってこのあたりを歩くと、古代ローマ時代からのいろんな時代の人々の生活の息吹が、たしかに肌で感じられるような気がします。これが、古都ローマに身を浸していてゾクゾクする瞬間であり、醍醐味なのです(岡田直子)。

 

投稿情報: Masu | 2011/09/08 15:42 カテゴリー: 岡田直子のローマ案内, 食 | 個別ページ | コメント (0)

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ローマ・”ここが好き”&”ここが今イチ”・その01

岡田直子です。「Loves」に挙げたものは、わたしのお気に入りの場所たちですが、「お気に入り」である理由は100%個人的なものです。つまり、お店等のクオリティも良いですが、それより「その場所で素敵な時間を過ごした」「大切な人とそこで忘れられない時間を過ごした」といった「思い出の場所」的要素の方が強いです。

人間の好き嫌いは、そういった主観的印象に左右される部分がかなり多いのではと思います。さらに、人間は変化していくので、わたしの「お気に入り」も時間の経過とともに入れ換わります(脱落していくものあり、加わるものあり)。

例えばレストランであれば、オーナーと知り合いなので、行くといつも良くしてくれるため心地良い、など。日本でもそういうのありますよね。ですので、飛び込みのツーリストがその店へ行っても、同じクオリティのサービスが絶対に間違いなく受けられるとは限りません。

 ですから、私情を排除し客観的に審査眼で見ると、もっとクオリティの良いお店や場所はたくさんあります。これらはあくまで「わたしが愛着を持っている」ローマの場所たちなので、他の人には良いと思えないところももちろんあるでしょう。

いわゆるガイドブックや雑誌に載っている「おススメスポット」とは、そういう点でご紹介の視点が違う、というのを踏まえてお読みいただければ、嬉しく思います。

 料理に関しては、伝統的な正統派が好きです。フュージョンや創作料理系は、あまり好みではありません。料理には「美味しい・美味しくない」という基準以外に「面白い」「新しい(今までになかった発想)」というジャンルが存在するのは承知していますが、奇をてらったものの、「どこへ到達したいのか」「何をしたいのか」が明確でなく「スベっているもの」も少なくないからです。伝統料理の重い部分を減らし、長所を強調してうまく洗練・進化させたものに出会うことがありますが、そういうものは好きです。

 静かな場所。客層の良いところ。サービスがきちんとしているところ。リラックスできて落ちつけるところ。かつ、繁盛していて活気のあるところ…が好きです。ですので、下町の伝統ローマ料理コテコテの騒がしいトラットリアなどからは、最近はすっかり足が遠のきました。

Naoko Loves

レストラン 「Hostaria da Pietro (オスタリア・ダ・ピエトロ)」

ローマでトスカーナ料理と言えばここ!という、有名老舗レストラン「Tullio(トゥッリオ)」の、オーナーの息子ピエトロさんが数年前に開いたレストラン。トゥッリオと同じ素材を使った同レベルの料理が、よりカジュアルに(お値段も)食べられます。トスカーナ料理のお店ですが、南イタリア直送のモッツァレッラチーズを毎朝仕入れており、それが美味しいのなんの。ローマで美味しいモッツァレッラが食べたくなったらここへ行きます。トスカーナといえばビステッカ(ステーキ)、肉料理もおハコです。

  Pietro01 

スペイン広場の近くにあり、人と会うのに便利なロケーションでもあります。そして、会食に使いやすいもう一つの要素は、こちらの空気を読むサービスの「間」が秀逸であること。ちょっと込み入った話をしている時は必要なサーブのため以外は絶対に入って来ないし、そうでない時は世間話や料理の説明、笑わせてくれる話などしにテーブルにやって来たり、「次を頼もうかな」と顔を上げたとたんサササッっと聞きにやって来てくれたり。サービスがキビキビしていて早いのも好きです。

プロ意識の高い店ですね。さすが老舗レストランの息子さんだなあ、職業をよく理解しているなあと思います。

必ず美味しいものが食べられて、必ず素晴らしいサービスが受けられて、必ず快適な時間が過ごせることがわかっている、絶対確実なところ。最近はメニューを聞くまでもなく勝手に見つくろってくれて、いろいろ出てきます。

 これは通貨がリラからユーロに変わったあとに顕著になった現象ですが、以前は、特にローマでは、レストランの「ハズレ」というのは、そうそうありませんでした。飛び込みで適当な所に入ってもそれなりに美味しく、そんなにひどい所に当たることは、滅多になかった。外食すること自体、気軽な感覚で、そんなに高価なイベントではありませんでした。素材の美味しさを存分に生かした(そもそも野菜や肉など、イタリアの食素材は味と滋養に富み、それ自体にパワーがある)「良質のもの・『ホンモノ』・美味しいものを安価で食べられる」のがイタリアの長所のひとつだったのですが、残念ながら都市部では難しくなってきています。

 さらに言うと、「『ホンモノ』にアクセスしやすい。しかも必ずしも高価とは限らない」というのは、食に限らず他の分野でもイタリアのおハコであり、長所でした。←過去形です。

 ユーロになってから物価一般が上がったのとともに(感覚としては約2倍)、外食の値段は特に顕著に上がり、人々は以前のような気軽さで外食することはなくなりました。同時に、レストランもコスト増への対応の差がはっきり出ているのか(以前と同じく真摯に料理とサービスを提供するのか、コスト面を重視して切り捨てる要素は切り捨てるのか)、クオリティの二極化は進むばかりです。さらにリーマンショックがこの傾向に追い打ちをかけました。

 そういう中、依然としてクオリティの高い料理とサービスを提供し続ける、しかもいつ行ってもブレがない(ココ重要)、というレストランは希少価値があり、ありがたくとても助かる存在です。

同じ時間を過ごし、お金を払うなら「ハズレ」のレストランには当たりたくないですし、食事は打ち合わせや社交、ちょっと込み入った話をする必要性など、単なる「いっしょにご飯を食べる」以上の意味を持つことも多いので、「絶対確実な安全牌」的レストランは、救世主的存在でもあります(岡田直子)。

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2011年07月に行く機会があったので、写真撮ってきました(桝山寛)。

Pietro02
手前左の白いカタマリ、何だかわかりますか? 右上はメロン・生ハム。右下はズッキーニの花のフライ。

Pietro03
牛肉のタルタルにカリカリ・トーストが添えられたもの。イタリア料理には珍しく、さっぱり味+スパイス。絶品!

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サイト管理人のマスヤマです。あちこちで書いていますが、直子さんはローマ在住歴、約10年(現在は京都在住)、私は、1週間以上居たことは無く、回数だけは、おそらく15回くらいは行っていると思います。”住んでいた人”の視点と、”短期滞在者”の視点は、かなり違うと思うので、ちょっとコメントしておきます。

ローマやフィレンツェ、ヴェネチアといった、イタリアの大都市は、世界でも10本の指に入るようなスーパー人気観光地です(山や海ではなく、都市としては)。スペイン広場、トレビの泉、など、いわゆる”ザ・観光地”には、文字どおり朝から夜遅くまで、かなり沢山の人が居ます。写真を見ていただくのが、一番わかりやすいかな…。

 

Trv
 トレビの泉:2010 年4月

 トレビの泉自体が悪いわけではありませんが、こうなってしまうと、雰囲気を楽しんだり、歴史的な背景に想いをめぐらせたりする余裕は持てず、むしろ、スリや物盗りに気を使わなければならないハメになります。

 そこで、私のオススメは…。

 短期滞在ならば、”時差ボケ”があると思うので、早朝に起き、トレビやスペイン広場など、24時間見られる場所は、早朝のうちに行ってしまうのです。ガラガラ、ということはありませんが、かなり余裕を持って、写真を撮ったり、映画で見たシーンを回想したりできます。しかも、それが夏だったら、暑くない、というメリットもあります。

 早朝に起きて活動すると、当然のように、夕方には疲れてきて、眠くなります。ツァーに参加していて、バスで巡っていたりすると、車中ではぐったりして寝てしまったような経験、誰でもあるのではないでしょうか。

 時差をコントロールするのは、旅慣れていても難しいものですが、早朝から観光地をめぐり、ランチにはワインを頼んで、眠くなったところで、ホテルに戻って昼寝してしまう、というのはどうでしょう。長時間、熟睡してしまってはいけませんが、30分とか40分くらい寝るだけで、ずいぶんスッキリすると思います。

 ショッピングを楽しみたい場合、昼から午後にかけて、長い休みを取るような店も多いので、それにも合います。また、イタリアの夕食時間は遅い(21時スタートぐらいが普通)ので、昼に寝ておけば、その賑わいも味わえることになります。

 もちろん、滞在しているホテルの場所によっては、気軽に戻れないような場合もあるでしょうが、逆にいえば、そこまで意識して、ホテルのエリアを選んでおくという考え方もできてきます。

 いずれにしても、あちこち沢山見ないと”もったいない”と考えて、無理をしてしまうこと自体が、かなり”イタリア的ではない”と思うので、2回目以降であれば、ちょっと気持ちを切り替えて”自分なりのローマ”を楽しんでほしいと思います(桝山寛)。

投稿情報: Masu | 2011/09/03 20:55 カテゴリー: 岡田直子のローマ案内 | 個別ページ | コメント (0)

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英タイムズ紙が認めた・”世界で一番クールな旅行ガイド”

サイト管理人のマスヤマです。私が海外に行くとき、仮に行き先がよく知っている街であっても、必ず持参するガイドブックがあります。”LUXE City Guides”といって、日本では”リュクス”というフランス語読みが、女性誌でよく使われますが、英語読みだと”ラクゼ”です。ここでは、日本でなじみがある”リュクス”にしておきます。”リュクス・シティガイド”。

なんといっても、その最大の特徴は、小さくて軽いこと。本ではなく、折れにくい硬めの紙をジャバラに折りたたんだ”パンフレット”というイメージです。たたむと15cm x 7.5cmで、iPhoneを1.2倍くらい大きくした程度、長めのサイフよりは小さいです。

広げると90cmを超えますが、うまく折られているので、一般の本のように、ページ毎に”繰って”読むことができます。女性が小さめのハンドバッグにでも、気軽に入れられるサイズと、シンプルでスタイリッシュな外観デザイン。そして、中身もユニークで、100%文字のみ。日本では一般的な、カラー写真や詳細な地図が満載の、情報量で勝負!な都市ガイド、旅行ガイドの対極、とでもいえばよいでしょうか。

Lx01
世界各地、30数の都市別に出されている。リュクス・シティガイド。英語・伊語版のみ。

リュクスの文字部分をA4の紙にプリントアウトしたら、おそらく数ページで終わってしまう程度の情報量ですが、今までに世界で100万部以上が売れ、英タイムズ紙では”世界でもっともクールな旅行ガイド出版社”とまで、絶賛されています。

 その理由は、情報が”リュクス”な読者に向けて厳選されていること。リュクスは、もともと”贅沢”という意味(英語だとラグジュアリー)ですが、単に高価であればよいということではなく、”物質的な贅沢さというよりは、心の余裕を感じさせる豊さ”というニュアンスが強いようです(Yahoo!辞書より)。

基本は、旅行者のための都市ガイドですから、街の概要、空港から市街地への行き方から始まり、宿泊、飲食、交通、ショッピングについての具体的情報が、コンパクトに詰め込まれています。

 そして、すべてのリュクス・シティガイドの最後のページには”LUXE Loves”と”LUXE loathes”という見出しで、”編集部のお気に入り(loves)”と”ここがちょっとキビしい(loathes)”が列挙されています。

 これをイメージしつつ、我々のサイトでも、色々な人の”イタリア各都市・ここが好き”&”ここが今イチ”を載せていこうと考えました。まずは、本サイトを共同運営している、ローマ在住歴約10年(現在は京都在住)の岡田直子さんから…(桝山寛)。

 

投稿情報: Masu | 2011/09/01 11:20 | 個別ページ | コメント (0)

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イタリア国民投票は、ベルルスコーニへのNO!

岡田直子です。

睡眠命の私が、イタリアの国民投票をリアルタイムで追い、2日連続で徹夜してしまいました。最終的に投票率は54,8%(海外在住者票も含む)、国民投票は有効(50%以上で有効となります)。

原発再開反対 94,1%、水事業民営化反対 95,3%、出廷免責反対 94,6%

(出典:La Repubblica紙)

これで、水事業の民営化・原発再開・首相の出廷免責はどれも、圧倒的多数で否決されました。1日目、6月12日(日)の正午の時点では投票率11%あまり。うーん…と思っているうち夕方からどんどん数字が上がりだし、1日目は22時に41%で終了。

Facebook 上で友人達が「投票してきた!」「まだ行ってない人、早く行って!」「このままこの首相に国を食い物にさせておくのか!」「『諦め』や『他人任せ』はもうたくさん。私たちの手に権力を取り戻そう!」と声をかけあって鼓舞しているさまは、鳥肌ものでした。特に、最近の日本の情けなさにやるせない思いをしている身には、彼らが羨ましく、そんな友人達を誇りに思います。

2日目、6月13日(月)15時に投票が締め切られた時点で投票率はゆうに50%を超えていたので、国民投票有効は確実でしたが、開票を待つ間の何十分間がもう、心臓がもたない・・・

しかし開票率が半数に至らないうちから、PC画面の向こうではもうお祭りムードがプンプン。日本のイタリア国民投票報道では、原発の設問ばかりが取り上げられていましたが、イタリア人たちにとっては、これで「ベルルスコーニ時代」が終わる!ということが何よりも大きいようです。

あれだけの数多くのスキャンダルにも負けず、不死身のごとく長年君臨してきたベルルスコーニ氏がこういう形で国民に引きずり降ろされることになるとは、数か月前まではちょっと想像もしていませんでした。

全国紙「La Repubblica」がウェブ中継で流していたTVで、コメンテーターのジャーナリストは、原発問題に福島原発事故は影響したか?という質問に対し、「イタリア人は以前に一度『原発は要らない』と国民投票で表明している。しかし福島の原発事故で、イタリア人のその意識がよりいっそう鮮明になったことは確かだ」とコメントしていました。

もう一つ指摘されていた特徴は、投票率が過半数に達せず無効になって欲しい政府の意向で宣伝が一切されなかった、むしろ間違った日付けが報道されたりなど妨害すらあった今回の国民投票は、facebook や各新聞サイトなど、インターネットメディアが情報伝搬において大きな力を発揮したということです。

主要TVチャンネルをいくつも持ち、報道を自由にコントロールしてきたベルルスコーニ氏の民衆操作のやり方も、ここにきて限界にきた、という分析がされていました。

同僚であり友人でもあるディエゴの言葉を、この2日間、何度も思い出しました。

「デモクラツィア(民主主義)はデモス(民衆)が意識的にクラテイン(政府)を行使できなければ、機能できないのです」イタリアの友人達は今日、それを見事に実行して見せてくれました。

 先日のイタリア地方選挙の時も思いましたが(ミラノとナポリで左派が勝利。特に、ミラノは中道右派であるベルルスコーニ首相の地元)、つくづく、イタリア人は古代ローマ人の子孫だなあと思います。

古代ローマでは皇帝がどんなに強権を無理やり振るおうとしても、庶民に人気がなければアウトだったのですよね。そのためローマ皇帝たちは民衆の人気を得ようとして、公衆浴場や競技場など娯楽施設をせっせと建てたりしていたわけです。

彼らはDNAのなかにしっかりと「民主主義」を持っているなあ、と思うのです。

 民主主義を市民革命で勝ち取ったわけではなく、「もらった」日本人の「デモス」はどうでしょうか。ここまで権力側から妨害されても、それでもれっきとして「クラテイン」を行使できるでしょうか…(岡田直子)。

 

*原発再開法の意志を問う投票用紙。脱原発派なら”SI(YES)”を選ぶ。

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投稿情報: Masu | 2011/06/14 19:30 カテゴリー: 311震災・原発 | 個別ページ | コメント (0)

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イタリアでは、原発再開の是非が国民投票へ

岡田直子です。

来たる6月12日・13日は、イタリアにとって非常に大事な日になります。 二転三転の末、原発再開の是非を問う、国民投票の実施が確定しました。

イタリアでは既に1987年、国民投票で「脱原発」が決定しており、すべての原発が廃止されています。(チェルノブイリ原発事故は1986年)

しかし原発を推進したいベルルスコーニ首相は、2020年までに原発を稼働させる計画を立てていますが、国民投票をいま実施すると、福島原発事故の影響で「原発再開」が否決される可能性が高いため、国民投票の実施を延期しようとしました。

その際ベルルスコーニ首相は、福島原発事故を受けて「原発の是非を再度検討している」フリすらせず、
「いまは日本の影響で皆が原発に否定的印象を持っているため、この『モラトリアム(猶予期間)』は2年後に皆が再び原発の必要性を冷静に考えられるようにするものだ」

と、「時間稼ぎ」を明確に認める発言すらしました。出典(伊語)

(この発言に対してはfacebook 上でも「時間稼ぎを堂々と認めるとは、たいした厚顔だ」との意見が多数見られました)

しかし、実は内閣に国民投票実施可否の決定権限はないのです。ですから首相のこの発言は、国民投票実施が確定したいま、彼にとって不利に作用する可能性があります。

その後、最高裁が6月1日に「実施」と判定
↓
(この間にも内閣は国民投票をキャンセルしようと、あの手この手で画策)
↓
6月7日に憲法裁判所も「実施」と判定

これで国民投票実施が確定しました。

国民投票の設問は、原発の可否を問う以外にも、水事業の民営化や現在法律で定められている「首相の出廷免責」を問うものです。

「出廷免責」がもしなくなれば、多数の裁判を抱えるベルルスコーニの、すでに始まっている「終わりの始まり」は、怒涛のように加速することになります。

ベルルスコーニ首相は、通算100以上の裁判を抱えてきました。首相となってからは自分に有利な法律を次々と成立させ、可能な限り裁判を回避しまた財力を使って無罪や免罪を勝ち取ってきました。(現在進行中の裁判は約5件)

参考:共同ニュース記事・・・・本サイト内、別記事(伊首相不信任案否決で、学生暴徒化)
ベルルスコーニがイタリア経済をいかにダメにしたかという考察(英エコノミスト誌)

6月12日・13日は、イタリアのここ数年の流れをあわよくばひっくり返し、イタリアのこれからを決定する大きな分岐点です。ぜひご注目を。

全国紙「ラ・レプブリカ」紙には、ここしばらく日本のニュースはありませんでしたが、今日から「国民投票特集ページ」を設営し(原発問題が大きな扱い)、福島原発事故の3月11日からの出来事を時系列で詳しく追っています(伊語)。

 
ちなみに、国民投票の日程や投票の仕方などを知らせる政府の広告やCMは、見事なまでに一切ないそうです。

主要メディアで福島関連のニュースが最近とみに少ないのも、原発問題から国民の目を逸らしたい政府の意向が働いていると見る向きも多いです。(イタリアの主要紙はみな、政府から補助金を受けています)

国営放送RAI は、ニュースのなかで国民投票の実施日程を間違って「6月13日・14日」と報道したのが最近2回もありました。

「Rai 1」「Rai 2」とご丁寧にチャンネルの違うニュース(「Tg1」と「TG2」)で2回も、それも日付けを間違えたのはキャスターだけでなく、ニュース内で流れたビデオ内でも間違っていたとなれば、ケアレスミスとは考えにくいですよね。

そこまでやるか!てな感じです。
追記:。ローマ・フィウミチーノ空港に到着した英「エコノミスト」誌が「検査のため」ブロックされているそうです


そのため、同誌がローマのスタンドや書店に並ばず、表紙にベルルスコーニの写真とともに「国全体を騙した男」と大きく書かれ14ページにわたってイタリアの政治・経済状況が詳細に述べられているこの号は現在、販売ができていない状態だそうです。

国民投票は、明後日から。すごいことやりますね・・・(岡田直子)

投稿情報: Masu | 2011/06/10 07:54 カテゴリー: 311震災・原発 | 個別ページ | コメント (0)

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