美島豊明さん ロングインタビュー
桝山:えー、インタビュアーのマスヤマです。この記事を見る方むけに、最初にお話しておくと、私は美島さんとは、単に個人的な友人で、コーネリアスの仕事でかかわっているわけではありません。とはいえ、美島さんのお仕事には強い興味があるので、ウェブサイトを作らせてくださいと提案し、取材することになった次第です。このサイトとコーネリアス、所属事務所の3Dさんとは、直接の関係はありませんので、ご承知おきください(写真の掲載は、許可いただいています。再利用はご遠慮ください)。
さて、どこから行きましょうか?コーネリアスのファンでも、自分で音楽を作るような人、雑誌”サウンド・アンド・レコーディング”を読むような人は、美島さんがコーネリアスの音楽作りにおいて、どういうことをやっているのか、だいたいイメージできると思うのですが、そうじゃない人、普通のファンは…。
美島:まったく何をやってるか、わからない…(笑)。ステージに立って演奏するわけでもないし…。
桝山:そうですね。クレジット表記も”プログラミング”だと、まぁコンピュータで何かやってるのかな?くらいの(笑)。そして、これは私の勝手なイメージですが、美島さんの役割って、ビートルズにとってのジョージ・マーティンなんじゃないかと思ってます。
美島:いやいやいや、そんな大それた(笑)。まぁ、ジョージ・マーティンは大ファンというか、ある意味では目標でもあるので、そう言っていただくと嬉しいですが。
桝山:ジョージ・マーティンと初期ビートルズは、レコード会社の経験豊富なプロデューサーと、地方都市で人気が出始めた若者バンドという感じで、年齢もビートルズよりジョージ・マーティンの方が全然上ですから、人間関係としてイメージしやすい。一方、美島さんの本来の立場はフリーなんだけれど、コーネリアスの仕事を長年やられていて、業界的には”専属?”のようなイメージもありそうで(笑)、その辺も含めてお仕事の様子をうかがって行きたいと思います。今日は、スタジオなどでの写真を持ってきていただきました。
P001(2003年2月)
美島:自分のデジカメ・ファイルなんですけど、だいたい私が撮っているから、自分はあまり写ってないんですよ…。作業中の典型的な写真が、P001です。私がコンピュータに向かっていて、小山田さんが立って横から見て、あれこれ言っているという。”Point”よりは後だけれど、”Sensuous”には、まだ取り掛かっていない時期かな。
桝山:一応、私なりに説明しておくと、コーネリアスの音楽作りは、普通にギターを弾いたり歌を歌うことも、もちろんあるんだけれど、コンピュータでの作業がとても多いので、こういう形になるということですね。録音した音を編集するのも、シンセサイザーの音作りもコンピュータでやってしまうと。で、そのコンピュータでの作業は、ほぼすべて美島さんが担当しているわけですね。
P002(2000年6月)
美島:そうですね。持ってきた写真の中で一番古いのが、P002です。”Point”を作り始めた頃のセットアップじゃないかな。デジカメを買ってすぐに撮った。
桝山:おお。機材に興味がある人には嬉しい写真(笑)。マックが、まだG3だ。
美島:マック本体の前に、僕の携帯電話と”パーム”(ハンドヘルド型の電子手帳)が見えてます。モニターの右のラックに入ってるのが、サンプラー、イミュレーター4です。あと、なんだろう…。ローランドの音源かな?まだ、ハードウェアの音源使っていたんですよ。大きいキーボードは、今でも使っているコルグのトライトン。下にプロトゥールズがあって、O2R(ミキサー卓)で、左の赤いキーボードはノードのモジュラーですね。でP003、オレが”ロッキン・オン”を読んでる(笑)。
桝山:10年前だから、やっぱり若いですね。レディオヘッド特集を熟読(笑)。誰が撮ったんですか?
美島:小山田さんだったかマネージャーの人だったか…。この頃は、まだデジカメがあまり普及していなかったから、みんな面白がって、”ちょっと撮らせてよ”って。P004は、コルグのシンセをいじってます。左のはムーグ。何やってたのかな…。”Point”の頃なんだけど…。
P004(2000年12月)
桝山:マック本体の前にある新聞は、美島さんが持ってきたんですか?
美島:そうです。でも、なんでこんなところに新聞があるのか、わからないんだけど(笑)。
桝山:ちなみに何新聞ですか?
美島:朝日です。P005は、僕がベース弾いてるんだな…。なぜ弾いてるのかは、よくわかりません(笑)。
P005(2001年1月)
桝山:こうやって美島さんが、キーボード以外の楽器を弾くこともあるんですね。
美島:んー。まぁ、たまに、素材としてサンプルすることはありますね。これは、多分ベース弾きながら、グィーンってチューニングを下げるみたいなことをやったんだと思うんだけど…。開放弦じゃなくて、フレットを押さえて弾いてるから、一人じゃできないんです。小山田さんが、チューニングを下げて、それを録っている最中だと思います。この音を、実際に曲の中に採用したかどうかは、覚えてないですが…。
桝山:”Sensuous”の1曲めで、ギターの開放弦をゆるめていくのと似た感じですね。
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